■ 配置の妙味 ■

 
 
  『建物を敷地のどこに配置するか』、というのは案外難しい問題です。
   希望される建物のヴォリュームと敷地のサイズが程よく合っていれば、自然と配置が
   決まるのでしょうが、実際は、なかなかそうはいきません。
   ここでは配置の制約をうまくクリアした、2つの事例をご紹介します。
  

 ひとつ目は、まだ自然な景観が残る場所
 での事例です。 〔大泉A邸〕

 敷地は東に向かって大きく下っている
 傾斜地ですが、広さは充分。 配置に
 ついては、かなり自由度がありそうなの

 
ですが・・・



 施主さんからのリクエストは、

 ・東側の自然な景観はそのまま残し、
  どの部屋からもそれを楽しみたい。
 ・西側は、シラカバ、ヤマザクラ、ヤマツツジ
  を残したい。
 ・シラカバを取り込むようなウッドデッキを
  設けたい。
 ・室内だけでなく、道路から玄関に至る
  アプローチもバリアフリーにしたい。

 
 といったものでした。

 これらの内容と、間取りに関するご要望を
 考慮すると、建てられる範囲はかなり
 限定されるのですが、あれこれ検討した
 結果、図面のような配置となりました。
 

 既存の植栽を避けながら、ぴったり納まって
 いるのが分かります。


   (図面はクリックすると拡大されます)
  

デッキから手が届きそうなシラカバ

リビングには“特等席”が

アプローチ際のオオヤマザクラ

玄関前のヤマツツジ

   こうして、建物の中でも外でも、この景観を存分に楽しめる家が出来上がりました。

  
建物自体はシンプルな構成で、道路からも近く、使い勝手のよいものになっていると
   思います。

  
元々、そこにある風景が活きるように、建物を敷地にあてはめる・・・ そんな家づくりも
   あるのです。





 もうひとつの事例は、建物や塀などの
 人工物に囲まれた場所での建築事例
 です。 〔大泉S邸〕

 左の図面の通り、東側はご両親の
 御宅、西と北はブロック塀に囲まれて
 います。 このスペースにほぼ一杯の
 ヴォリュームで建物を配置し、玄関は
 東側の中央付近に設けました。


 
普通ならこんな場合は “南に玄関を”
 と考えがちですが、間口が限られている
 ため、 玄関を奥に、子供室を南側に
 配置して、居室の採光や眺望を確保する
 方がよいと思います。

 また、2棟間を玄関へのアプローチと
 することで、そこは単なる隙間ではなく、
 『意味のある空間』 になりました。


   (図面はクリックすると拡大されます)
 
 
 写真の2つの建物の間を入っていきます。
 一見、玄関へのアプローチとしては、
 あまり好ましくないように思われるかも
 しれませんが・・・

 
 実際の空間は、こんな雰囲気に
  仕上がっています。

 床はコンクリートの平板を一定間隔に
 並べて、間に白い玉砂利を敷きました。
 そして、左右の外壁材は縦方向に張り、
 玄関前には視線を留める役割もある
 縦の格子を設けて、和のテイストで
 まとめてみました。

 ちょっと、京都の路地風(さすがに
 言い過ぎ?)の、なかなか“粋な空間”
 ではないでしょうか・・・。

 

   いかがですか? 配置上の制約も工夫次第でこの通り。 制約を逆手にとって活かすのも、
   設計の腕の見せどころです。



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